アジア経営学会

第3回(2019年度)研究奨励賞受賞論文

■受賞者

王 珊(東北大学大学院経済学研究科博士課程)

■受賞論文

中国における日系自動車部品メーカーの開発活動とその制約条件
-デンソー中国と地場系完成車メーカーの取引を中心に
『アジア経営研究』第24号(J-STAGにリンク

■審査委員会からの講評

受賞論文は、中国の自動車産業における日系部品メーカーと地場系完成車メーカーの取引関係についてデンソー中国を事例に研究している。先行研究を渉猟した上でなされている独自調査は骨太で独創性が高いとみなされる。また残された課題も明確に認識されており、今後の研究の発展性が期待できる。

完成車と部品のメーカー間の取引関係や製品開発能力は、前者が後者に提供する「貸与図」と後者が前者に提供する「承認図」によって区別されてきた。しかし受賞論文では、デンソー中国は「承認図」メーカーであるにもかかわらず、完成車メーカーの先行開発にほとんど関与できておらず、両者の新たな関係が明示された。これは一般に、日系部品メーカーの海外進出における経営戦略や中国自動車産業の発展に関する新たな知見を提供している。

最後に、受賞論文それ自体の評価と離れて付記すれば、著者はデンソー中国を一貫して研究対象としており、同社と完成車メーカーであるVWと現代自動車の取引関係は、すでに『アジア経営研究』(第22号、第23号)で発表されている。その研究成果に上積みをするように今回は地場系完成車メーカーが対象とされた。このような地道な努力を続ける著者の研究姿勢こそが、文字通り「研究奨励」に値すると賞賛される。

研究奨励賞の審査基準は「①独創性の程度、②学問上の発展性の程度、③学会の活性化に貢献する程度」であった。今回の審査対象論文の学問的水準はいずれも高く、アジア経営学会として喜ばしいことである。その中でも受賞論文は、審査基準3点のいずれにおいても審査委員から一致して高く評価された。

2019年12月16日

アジア経営学会 研究奨励賞審査委員会
委員長 上田義朗(流通科学大学)
副委員長 吉野文雄(拓殖大学)